インドからのエンジニア採用方法その3|リアルな人脈構築で採用する|インドエンジニア人材採用FAQ

インドからエンジニア採用を採用しようと計画をした場合、最初にすることは母集団形成です。それも普通の母集団ではなく、よい母集団を形成していく必要があります。

よい母集団の定義は色々とありますが、採用戦略は自社の成長戦略の入り口なので、競争優位性が高い母集団、すなわち有効性が高くかつ独自性の高い母集団を形成していく必要があります。

その1でお伝えしたレジュメプール会社のサービスを利用する、その2でお伝えしたSNSを活用して自社オリジナルの名簿を作成する。など方法は色々とありますが、 今回のテーマである人脈構築による母集団形成は、その有益性と真似の困難さにおいて非常にすぐれた方法です。

今回は「インドからのエンジニア採用方法:その3」として、 人脈構築による母集団形成 &人材採用のやり方を解説します。

リストは作るだけでは役に立たない

エンジニアに限りませんが、採用活動を行うには労働者市場のマーケティングを行い母集団形成をすることが必要です。 エンジニアを採用するならばエンジニアのリストを作成することが絶対に必要です。

しかし、リストはただ作るだけでは役に立ちません。 通常、作成されたリストは消極的候補者のリストです。リストの人材は現時点では積極的に仕事を探してはいないため、労働者市場に出ていない人のリストです。

そのため、この候補者リストには活性化という工程を加える必要があります。活性化の仕方はこちらからのスカウトメールなど、積極的な方法と 候補者との信頼関係を構築し、何かあった時にいつでも相談してもらえるというポジションをキープするという手法があります。

スカウトメールなど積極的なコンタクトは短期決戦型スキームのため、成果が出るまでの期間は短くできますが、長期的なレバレッヂは効きません。また、仕事に困っていない人に対して「転職しませんかのメール」を送ることはコンプライアンス的にも好ましくありません。

反面、信頼関係を構築し、何かあった時に最初に相談してもらえるポジションをキープするというやり方は、一見時間ばかりかかるように見えますがストックビジネスのスキームと同じです。そのため長期的には大きな回収が見込めます。

つまり、人脈構築によって母集団を作ると同時に、困った時に最初に相談される人。すなわち、その分野の専門家として深く信頼されていることが非常に重要になります。そのため、リストを作成する際には、その先を見据えて活動していく必要があります。

「6次の隔たり」という仮説

6次の仮説によれば、6人介することで、世界の誰とでも繋がることが可能

ウェブからの名簿作成とは異なり、今回のスキームはあくまでリアルでの繋がりを起点にします。FBなどのツールも使用しますがあくまで補助的に活用します。

人脈構築からの母集団形成&アプローチというと難しいという印象を持たれるかもしれませんが、その難しさの目安は6次の隔たりの仮説によれば、 地球上の人間は6人を介すことで、誰であってもたどり着くことができます。一見すると難しいスキームのようですが、工程数ではたったの6工程です。

実際にFB上では4.74人で全ての人と繋がることができるので、あながち間違いではない数字でしょう。ターゲットに向けて人脈のネットワークを6段階掘り下げていくことが、このスキームの目標になります。

人脈構築による採用活動の国内事例

ハブになる人物へのアプローチが重要

人脈構築というと、友達を増やすことをイメージされる方も多いかもしれませんが、ビジネスという視点で見た場合は、友達の多さではなく、成果につながる生産性が重要になります。そのためには、ハブになる人物へのアプローチが重要になります。

例えば、人材紹介会社は不動産会社からアプローチを頻繁に受けます。これは、人材不動産ローンを組むタイミングとして人材紹介会社がハブになっているからです。

人材紹介会社に相談に来る人をというのは転職を考えている人という属性を持ちます。そのため、以下のようなシナジーが存在します。

実は、不動産など、長期のローンを組む場合は勤続年数が重要になります。転職をしてしまうと勤続年数がリセットされるため、ローンの審査が通りにくくなります。そのため、不動産会社にとっては「転職する前に長期のローンを組んでおきましょう」というセールスが可能になります。

これが、ハブになる人脈構築の例です。ダイレクトにエンドユーザーに行くことよりも、ハブとなる人とコネクションを持った方がビジネス的な生産性はあがります。そのため、ハブとなる人物にたどり着くことが非常に重要になります。

人脈営業の例

  • 生命保険会社が結婚相談所とコネクションを持つ
  • 探偵が弁護士とコネクションを持つ(不倫相談)
  • 自動車修理会社が損害保険会社とコネクションを持つ

日本国内の採用シーンですと、例えば新卒採用のシーンで、学生団体やサークルリーダーと人脈を作るという手法が存在します。サークルリーダーは1年ごとに交代なので、毎年人脈を構築しなおす必要があり、あまり効率的ではありませんが、新卒採用は、院進学などのパターンを除いて、どこかの会社には行くはずの人材なので、活性化のコストは低いと言えます。

また、一般的ではないかもしれませんが、女性をターゲットにしている人材紹介会社には占い師と組んでいる場合があります。占い師に相談に来る人の悩みは仕事、家庭、恋愛、健康、がメインです。仕事の悩みに対して、転職という具体的なソリューションを提供できる人材紹介会社(転職カウンセラー)と連携することは占い師にとっても顧客の悩みの解決という点でメリットがあります。

バックマージンではなく信頼関係が重要

ここで重要なのは、これらの関係は基本的にバックマージンなどの経済的な繋がりではなく、一緒に仕事をすることで双方の仕事自体がうまくいくというシナジーが前提になっています。

顧客との信頼関係が非常に重要なビジネスですので、バックマージンのために信頼ができない人物と組むということは、長期的にみると大きな損害になります。

先ほどの占い師の例でいうならば、占いに来てくれた人が仕事の悩みを解決できることが占い師のミッションです。紹介料欲しさに相談者の意志ではない企業への斡旋を行う紹介会社と連携することには意味がないばかりか自分の看板を汚します。

特に占い師さんは、卦が汚れるという理由で、占いの対価以外のお金を受け取らない人が多いです。相談者さんの為になると思えばお仕事をいただくことができますが、信頼できない人には絶対に紹介してくださいません。

お金で買えない信頼関係をいかに構築するかが非常に大切であり、そのため、非常に時間のかかる営業スタイルであると言えます。

インド人エンジニア人脈の要(カナメ)

6次の隔たりの仮説により、おおよその工程として、必要な掘り下げの程度は6段階程度と見積もりが立ちます。そして、なるべく効率的にハブとなる人物にたどり着くことがこのスキームの核心です。闇雲に友達を増やすのではなく、戦略的に人脈を構築する必要があり、そのメソッドは科学的に解明されています。

では、インド人エンジニアのハブとなる人物はどのような人でしょうか。ここで重要なことは全てのインド人エンジニアと接点を持っているという観点でマーケティングを行うことです。

ビザを得るためには大卒である必要がある

エンジニアという人材のセグメント定義の方法は色々とありますが、日本で働く外国人エンジニアと定義すると、確実にハブになるのは大学教授です。何故かというと、これはスキル的な話ではなくビザ的な話です。

外国人が日本で働く場合には、配偶者ビザなどのケースを除いては労働ビザが必要です。日本の出入国管理法は厳正に運営されているので、労働ビザを取得するには原則的に大学などで学んだ高度で専門的な知識を持っている必要があります。

そのため、逆説的ですが日本で働くことが可能な外国人エンジニアは確実に大学を卒業しています。もちろん、料理人ビザなどの場合は学部卒以上であることは必須ではありませんが、本国でのしっかりとした実績が必要です。

そのため、例えば以下のような形式でたどることができます。

在日インド人コミュニティ
日印協会など、国際交流機関
世界展開をしている交流会組織(JC・BNIなど)

各国の大学同窓会組織

大学教授・関係者

エンジニア

現地国の大学がルートの目標

このように「大学を卒業していないとそもそも日本で働くことができない」というインド人エンジニアの共通点から辿ることで、日本国内でのファーストコンタクト先が、在日のインド人コミュニティかインドの大学と姉妹校関係にある大学というルートが見えてきます。

もちろん、このルートは妥当な仮説なので、これ以外のルートも確実に存在するはずです。重要なのは、ビザという要(カナメ)を設定することで「大学」というハブが見えてくるという発想方法です。

要(カナメ)の設定によるルートの想定が、人脈構築のポイントです。

インド/世界の著名な大学を確認する

前項により、ターゲットすべき人脈のハブは「インドの大学の関係者」ということが見えてきました。そのため、次は具体的な大学をピックアップする必要があります。

一般的に、世界の著名な大学を調べる際には以下のランキングサイトを使います。

主な世界の大学ランキング

上海交通大学のものとTIMESのものは掲載大学が少なく、北米・イギリス以外の大学はほとんど載っていません。そのため、アジア各国からの若手人材作用のシーンではQS(クアクアレリシモンズ)の世界大学ランキングを利用する場合が多いです。

採用のシーンでQSのランキングを使用する場合は、「現地のトップ大学」もしくは「QS世界大学ランキングで200位以内」を一つの目安にしている場合が多いです。

ランキングをみると、その順位に一喜一憂してしまいがちですが、気を付けたいのは、ランキングを利用することは、あくまで大づかみなマーケティングのためであり、採用の本質ではないということです。

採用活動は「自社で勤務して活躍できるかどうか」が大切なので個にフォーカスして行う必要があります。大学ランキングを絶対的なものとして採用活動を行うこと避けなくてはいけません。

しかし、確率論から言えば、優秀と言われる大学の出身者は優秀でしょう。そのためマーケティングターゲットとして大学のランキングを活用することは、やみくもに行うよりも価値があります。

QSで200位以内か現地国のトップ大学

いわゆる人材紹介会社が、QS世界大学ランキングで200位以内の大学をターゲットにする場合は、その大学の実力というよりも企業の採用担当者への説得材料という営業的な要素が強いです。

QSランキングでの日本の大学の順位は、概ね旧帝国大学>早慶>地方国立という傾向になっており、早稲田、慶応が大体200位前後です。そのため、早慶と同ランク以上の大学なら、人事担当者が上司に説明しやすいという営業上の理由が大きなウェイトを占めています。

そのため、あくまで大づかみな傾向として、以下のインド・パキスタン・バングラディシュをターゲットにするならば、以下の大学をターゲットにするのが確率的に優位性があります。

南アジア地域での著名な大学一覧

※QS世界大学ランキング基準。手前の数字はQSランクでの順位

インドの著名な大学一覧

インドの場合は通称IITと呼ばれる工科大学群が上位を占めます。人材採用的な観点では、IITは日本でいう旧帝国大学のような説明のされかたをしています。

-162 Indian Institute of Technology Bombay (IITB)
※インド工科大学ボンベイ校

-170 Indian Institute of Science
※インド理科大学院

-172 Indian Institute of Technology Delhi (IITD)
※インド工科大学デリー校

-264 Indian Institute of Technology Madras (IITM)
※インド工科大学マドラス校

-283 Indian Institute of Technology Kanpur (IITK)
※インド工科大学カーンプール校

-295 Indian Institute of Technology Kharagpur (IIT-KGP)
※インド工科大学カラグプール校

-381 Indian Institute of Technology Roorkee (IITR)
※インド工科大学ルールキー校

パキスタンの著名な大学一覧

-397 Pakistan Institute of Engineering and Applied Sciences (PIEAS)
※パキスタン工科大学

-417 National University of Sciences And Technology (NUST) Islamabad
※パキスタン国立技科大学

バングラディシュの著名な大学一覧

-801-1000 Bangladesh University of Engineering and Technology
※バングラディシュ工科大学

-801-1000 University of Dhaka
※ダッカ大学

801-1000位というと、大体、有名な私立大学や地方の国公立大学ぐらいの順位になります。しかし、18歳人口から導き出される競争率の観点では、その大学に入学するために必要な勉強量は日本の大学とは比較にならないほど多いです。

途中に様々なルートが確実に存在しますが、日本国内の人脈から、これらの大学へのネットワークルートを効率的に構築していくことがこのスキームのコアな部分です。

各大学はFBページも開設しているので、友達リストからリアルな人脈につなげていくという手法もよいかもしれません。もちろん、コンプライアンスやマナーは非常に重要です。「儲かれば何をやっても良い」や「自分のノルマをこなすことが何より重要」というマインドの人は今すぐ業界から去る必要があります。

「リアルな人脈構築で採用する」の評価

今回はリアルな人脈構築によりインド人エンジニアの採用のやり方について解説をしてきましたが、このスキームのメリット、デメリットはどのようなものがあるでしょうか。

△:最低でも2年程度の時間が必要

人的ネットワークの構築はとにかく時間がかかります。何かあった時に相談してもらえる立ち位置につくのに2年。そこから実際に相談をもらえるのに1年。最低2~3年は見積もる必要があります。

×:個人的な信頼関係がベースのため会社の資産にならない。

このスキームの最大のデメリットは会社の成長とのリンクが取れないことにあります。人的ネットワークによる人材ルートの確立は、他社が決して真似のすることができない、極めて強固な人材ルートになります。そのため、このルートを構築できた場合、圧倒的な競争優位性を獲ることができます。

しかし、これらのネットワークは極めて属人的な信頼関係によるものです。そのため、会社の強みとリンクさせることが非常に難しくなります。これは会社組織として行う場合、致命的なデメリットです。

人的ネットワークは個人と個人の信頼関係によって構築されます。ネットワークの相手は〇〇社のAさんではなく、Aさん個人への信頼です。特に大学関係者は教育者でもあります、ビジネスならば会社の名前で信頼を得られることもありますが、教育という観点では、その人が本当に信頼できるということが非常に重要です。

そのため、経営者目線としてはともかく、長期保有型の投資家・株主目線としてはこのやり方は支持できません。会社が長期永続的に発展していくためには、属人的な強みを会社の強みへと昇華させていく必要があります。

人脈構築による採用ルートの確立は圧倒的な独自性から創出される非常に競争優位性のある採用スキームではあります。しかし、競争優位性の本質が個人に紐づくため、会社の成長戦略としては評価は低くなります。

アウトソースの可否

前段の通り、自社で所有することの整合性が弱いスキームであるため、このスキームはアウトソースするメリットがあります。

日本の会社でこのスタイルを採用している会社は、ぱっと見ると少なそうですが、インドの場合ですとグルガオンなどで、大手人材会社から独立したヘッドハンターが活動していたりしています。

そのため、この手法を採用する場合、そういったヘッドハンターに依頼するというのは一定の戦略整合性があります。もちろん、現地&ヘッドハンターと料金荷重要素が多いスキームのため費用自体は高くなります。

また、人材紹介会社ではありませんが、このスキームでの採用活動を組織的に行っている会社は無いわけありません。

例えば、生命保険業界です。生命保険業界では、人材採用を組織的に属人的なネットワークを使い行っています。

ターゲットとなる人材は「明らかにポテンシャルはあるが、現在の会社で発揮しきれていない20~30代ぐらいの人」です。生保の営業マンは、6次の隔たりを活用しこのような人との人脈構築を進めています。

もちろんこれは、業界の特性として「差別化が難しい商品を営業マンの人間力で売る」という土台があるか成立しているとも言えます。保険商品は確率の商品なので、商品それ自体はどこも同じです。差別化が一般的に非常に難しい業界です。そのため、売る側の人間自体が発揮している価値が大きい業界であると言えます。

そのため、確かに組織的にリアルな人脈からの採用を効果的に行うことは可能なのですが、それは、どの業界でも有効な手法かといわれると違うでしょう。

エンジニアリングの会社が、人的ネットワークでの採用活動を組織的に行うということは本業とのシナジーが弱いでしょう。このスキームを採用するならば、人的ネットワーク構築を旨とする人材紹介会社へ依頼するほうがベターです。

もちろん、人材紹介会社へアウトソースしてしまうと、自社の採用ノウハウはたまりません。採用戦略を自社の成長戦略の入口とするならば、慎重に行う必要があります。

ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。

株式会社南アジアエンジニアは、人的ネットワーク構築による採用戦略の構築方法も、それ以外のスキームについても、何でもご相談を承っております。

次回は、既存社員からのリファーラルリクルーティングやアルムナイ構築について解説を予定しています。小さなことでも問題ございませんので、是非、お気軽にご相談ください。

Last updated: 11月 1, 2019 at 23:12 pm

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