人材紹介会社へ依頼する時の確認事項|インドエンジニア採用FAQ

採用戦略は会社の成長戦略の入り口です。そのため、永続的に会社を成長させていこうと考えた場合、部長以上クラスをヘッドハントするなどのレアな場面以外では、人材紹介会社は利用しないほうがよいです。

確かに、最初から人材採用のフローを自社で行うことはハードルは高いですが、自社で行うことでしか採用のナレッジは蓄積されません。

面接のノウハウ、母集団形成、労働者市場全体のマーケティングなど、自社で行うことによって成長戦略の位入口である採用戦略のノウハウが蓄積されます。会社の長期的な成長を計算した場合、採用活動は自前で行うほうがプラスになります。

しかし、そうはいっても、マーケティング、母集団形成、ファーストスクリーニングを代行してくれる人材紹介会社は企業にとってありがたい存在です。特に初めてインドなどの海外からエンジニアを採用する場合に、一切合切をアウトソースすることができる人材紹介会社の存在は非常に助かります。

もちろん、会社にもよりますが、人材紹介会社はめんどくさいことを代わりにやってくれる下請けではなく、採用に関して自社で不可能なナレッジを持っているパートナーです。依頼をする側であったとしても、そのプロフェッショナリティに対して敬意を払わなくてはなりません。

ここでいう敬意とは、ビジネスマナーや態度の話ではなく、人材紹介会社がどうすることもできないリスクやコストを一方的に人材紹介会社側に背負わせないということです。人材紹介会社が扱う商材はモノやサービスではなく、ヒトであるため、モノやサービスのビジネスでは問題の無い(もしくは、リスクが低い)ことでも、大きなコストやリスクになります。

人材紹介会社に限った話ではありませんが、取引をする場合は取引先とWIN=WINの関係を築く必要があります。では、どのようにすれば、人材紹介会社とWIN=WINの関係を築くことができるのでしょうか。

WIN=LOSEな契約は不可能

モノの納入やサービスの実行をコミットする契約の場合、依頼先に対してWIN=LOSEの契約を結ばせることも可能です。もちろん、いわゆる下請けいじめなのでモラル的・法的には問題がありますが、できる/できないでいえば可能です。

しかし、通常は人材紹介会社との契約は通常は成果報酬(インセンティブ契約)での契約です。

これは、前回お伝えしたことと同じですが、インセンティブ契約の特徴は「やる/やらない」を自分で決定できる契約です。すなわち、契約はしたが行動する約束はしていないという契約であるということです。

「モノ」や「サービス」を納入する契約でしたら、WIN=LOSEな価格であっても、契約さえしてしまえば、その値段で仕入れることができます。しかし「ヒト」の納入の通常ならば確約はできません。そのため人材紹介会社との契約は成果報酬のインセンティブ契約になります。そのため、契約をした後でも履行する/しないの選択肢を人材紹介会会社側が持ちます。

悪意を以てWIN=LOSEを狙いにいくことは論外ですが、悪意のあるWIN=LOSE契約に対しては履行しないという対抗措置を取ることが可能です。そして、人材紹介会社が対抗措置を取らざる得ない状況になってしまうと、クライアント企業側は結局何の価値も得ることができません。

そうならないようにするには、人材紹介会社へ依頼する際は、人材紹介会社へ各社のプロフェッショナリティの範囲外でのコストやリスクを負わせないようにすることが必要です。

モラルの話はもちろんありますが、モラルの話と並行して、ついうっかりWIN=LOSEになってしまうアクションをとってしまうと、結局、誰も得をしない結果になってしまいます。

そのため、人材紹介会社に依頼するには、例えば以下のような対応をしないことが重要になります。以下のような行動は、人材紹介会社に対して自社ではどうしようもないことでのリスクを負わせてしまうため、人材紹介会社的には、この会社からの依頼に対しての優先順位が非常に低くなります。

コンペ方式の人材採用をする会社

「(初めて採用するのだから)人材を何人か並べて、一番いい人を採用したい。そのため、もう4,5人紹介されるまで待ってほしい。」というご意見です。

特に外国人採用のようなシーンでは、いわゆるコンペ方式採用をしたいというご要望はよくあります。しかし、このやり方は、人材紹介会社的にNGなだけでなく、候補者視点でもNGです。このやり方では基本的に採用は成功しません。人材紹介会社は採用の成功が目的なので、成功しない採用方式で行う企業の案件は優先順位が無くなります。

まず、普遍的な事実ですが、よい人材には必ず沢山のオファーがあります。そのため、よい人材であればあるほど、その会社からのオファーが来るの首を長くしていつまでも待っているということは絶対にありません。スピード感のある判断をしてくれる他の会社のオファーを受けます。

ましてや、優秀なインドエンジニアは英語がデフォルトで可能なため、インド国内だけでなく米英豪加など、基本的に世界中どこの国からもオファーが来ます。

日本の人材の採用競合は原則的に日本国内だけなため、人材紹介会社に依頼するためには、日本国内人材よりもスピード感のある意思決定が必要になります。もちろん、他社からの引き合いが無い人を採用したいならばこの限りではありませんが、それでは意味がありません。

これが「モノ」でしたら手付金などで、引き留めてキープしておくようにするということも可能です。しかし人材紹介会社があつかう商材は「ヒト」です。手付金などでキープしておくことは不可能でしょう。人材紹介会社にとってクライアントは対等です。手付金が出ているA社の案件を優先してB社への対応を遅らせることは、B社との信頼関係の崩壊に繋がりますし、候補者がB社へ入社するチャンスも奪うことになるので、まともな人材紹介会社ならば、その提案を受けることはできません。

人材紹介会社の場合、経済合理性的にもこのオペレーションは不可能です。

「人材を並べて評価して一番良い人を雇う」。確かにこの方法でしたら、経営上のリスクを減らすことはできますが市場原理的に不可能です。

もちろん、コンペ方式であるということを人材紹介会社に隠して採用活動を行うことは可能ですし、偶然コンペ状態になることもあります。しかし、長くやっているとコンペで方式であることは確実に判明するので、長期的な信頼関係を人材紹介会社と築くことはできないでしょう。

本当に力のある人材紹介会社はクライアント企業との信頼関係を大切にしますし、相談者(候補者)との信頼関係を大切にします。

あちこちの人材紹介会社に声をかける会社

人材紹介会社は、人材の捜索、カウンセリングと、まず自社のコストが先に出ていくビジネスモデルです。

そのため、紹介した人材が不採用になると、そのコストが損金になります。

もちろん、そこに至るまでの過程が人材紹介会社のプロフェッショナリティのため、マッチングの精度や事前トレーニングの精度が劣っていた場合は、その結果はプロとして当然に受け止めます。

しかし、重複紹介による不合格の場合は、人材紹介会社が取れる回避策がなく、また、悪意を以て重複による不合格になるパターンに対しては個人情報保護法的な観点からどうしょうもありません。

たしかに、依頼する企業にとっては、沢山の人材紹介会社に依頼すれば、確率はあがるかもしれません。しかし、沢山の会社に依頼されてしまうと、人材紹介会社としては人材重複のリスクが高くなるため、ビジネス効率の観点から、社内での優先順位は低くなります。

確かに、競合となる人材紹介会社よりもスピーディに人材を探すということはビジネスの差別化において重要でしょう。もちろん、同じ人にリーチするためにA社は1週間、B社は1年というのでしたら、流石にA社に分があります。しかし、ここで重要なのは人材紹介会社と候補者の事前打合せは候補者の都合で決まるということです。

人材紹介会社は候補者のスケジュールの空きをコントロールできません。そのため、候補者のスケジュールの空き状況という人材紹介会社側から全くコントロールができないことに対して、捜索・カウンセリング・意欲喚起がまるまる無駄になるリスクを負うことは避ける必要があります。

また、その案件ありきで積極的に候補者を探しに行った場合、候補者と打合せをした結果、既に応募していました。ということは、候補者の時間も無駄になってしまうため、自社のカウンセラーの人的コストもありますが、候補者の時間も無駄になるため、候補者への損失も発生します。誠実な人材紹介会社は、候補者の時間を絶対的に大切にします。そのため、こういった案件は受けることができません。

さらに、これは極めて悪質ですが、複数紹介会社から同じ人が紹介された場合、一番安い紹介会社から紹介されたことにするという依頼主企業も存在します。このパターンが発生した場合、人材紹介会社側からは個人情報保護的な観点で証拠を調べることができません。

既に信頼関係が構築している依頼主ならば問題はありませんが、初めて取引する会社が多数の人材紹介会社に同じ求人案件を発注している案件は重複応募のリスクや、合格後の「この人は他社からの紹介です」リスクを考えると、非常にリスキーな契約です。

そのため、優先順位は非常に低くなり、依頼主としても、良い人材に巡りあうことは難しくなります。

自社でも募集を平行して募集する会社

人材紹介会社にも依頼しつつ、自社でも募集活動を行うパターンです。この採用方式を行う企業は人材紹介会社としては非常にリスクが高いです。

このパターンのどのへんが人材紹介会社としてリスキーかというと、このパターンは人材紹介会社のリソースをフリーライドすることが可能だからです。

これは極めて悪質ですが、人材紹介会社経由で応募してきたAさんを、自社に直接応募してきたことにしてしまえば、人材紹介会社に紹介料を払う必要がなくなるからです。

また、仮に本当にAさんが自社に応募してきたとしても、依頼主は人材紹介会社が作成した「Aさんへの推薦状」を無料で入手することができます。人材のカウンセリングがコアバリューである以上、コアバリューがフリーライドされるリスクは可能な限り下げる必要があります。

このケースもまた、個人情報保護の観点から、人材紹介会社経由なのか、直接応募なのかを人材紹介会社へ連絡する必要がないからです。

もちろん、人材紹介会社が、候補者の履歴書から連絡先を消した状態でクライアント企業に渡すことは可能です。しかし、連絡先などは調べればわかりますし、「面接をしてみたら過去に応募していた人でした」と言われた場合はどうしようもありません。

候補者も、これから働く会社ですから波風は立てなく無いですし、口止め料金が支払われる場合もあります。もちろん、そういった正義感の無い候補者はあまりよい人材ではありません。しかし、人材紹介会社がそれまでに費やした費用がまるまる無駄になるという事実は変わりません。

確かに「人材紹介会社と候補者の信頼関係が無いことが問題であり、候補者に裏切られることは人材紹介会社の能力不足」という意見は正しいです。しかし、人材紹介会社が紹介までにかけたコストは全て損金になるリスクは発生します。リスクが大きい仕事とリスクが小さい仕事ならばリスクが小さい仕事の優先順位を上げるのは当然です。

もちろん、ビジネスは騙し合い、騙されるほうが悪い。というのは確かに事実でしょう。しかし、そういった会社は不必要なセキュリティコストが上乗せされた価格でしか他社と取引することはできません。また、そういった会社は市場に対してブランドを築くことはできないでしょう。

人材紹介会社へ依頼する時の確認事項まとめ

これらのパターンは、特に初めて人材紹介会社を利用するという企業が、つい、やってしまいがちなパターンです。しかし、悪意を持って確信犯的にこれらの事を行っている企業も多数存在します。

確信犯的に悪意を働く企業が存在する以上、人材紹介会社は自己防衛をするしかありません。しかし、個人情報保護の観点から裁判という積極的なアプローチを行うことは難しくなっています。そのため、優先順位を下げるという消極的なアプローチしかありません。

人材紹介会社はビジネスですので、リスクの高い取引先は優先順位を下げざるを得ません。悪意を持って人材紹介会社と取引をするのは論外ですが、人材紹介会社のビジネスモデルを知ることで、知らず知らずのうちにリスクの高い企業になってしまうことは回避できます。

心情的にも、この人は悪い人かもしれないと考えながらビジネスをしたい人は存在しないはずです。

ここまで読んでいただき本当にありがとうございました。

株式会社南アジアエンジニアでは、人材紹介会社・ヘッドハンティング会社を交えた採用戦略の構築など、弊社スキーム以外での採用体制の構築などのコンサルティングもしております。ご不明点などございましたら、お気軽にご相談くださいませ。

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