リクナビ問題と直接応募へのシフト|インドエンジニア採用FAQ

大手求メディア「リクナビ」がAIの予測による各学生の内定辞退率を各企業に販売していたというニュースがありました。

もちろん、個人情報の取り扱いへの同意は取ってあったということなので法的には問題が無いと思われます。

しかし、実は、この問題はリクナビの問題というよりも、ビジネスモデルとしての構造的な問題であると言えます。なぜなら登録会員のデータを販売するということは、構造的には他社のウェブサイトでも理論上可能だからです。

現段階ではたまたまリクナビが取りざたされていますが、仮に自社が辞退率のデータを購入していなかったとしても、会員登録が必要なタイプの求人サイトを利用している限り、「学生に内緒で個人情報を購入する企業かもしれない」という風評が広がるリスクは存在します。購入していない証明は悪魔の証明になるため不可能です。

個人情報を登録するタイプの求人サービスはそういったリスクをはらんでいるといえます。そして、リスクは企業と候補者が直接つながることで回避可能なため、今後は直接応募へのシフトがより加速していくでしょう。

このリスク顕在化によって、人材採用のシーンは否応なしに変革を求められます。

次の時代である変革の帰結は何でしょうか。その帰結点の1つとして確実に存在するのがインド人エンジニア人材の採用です。

今回はリクナビ問題を皮切りした、採用シーンの変化とインドエンジニア採用へのシフトを解説していきます。

採用シーンの構造的な変化

今回のリクナビ事件により、候補者は求人メディア企業へ個人情報を預けることに対してのデメリットをはっきりと意識することになりました。また、企業サイドにとっても個人情報を預かっているウェブサイトと契約することのリスクが顕在化されました。

これは、企業の担当者が学生のツイッターを見て、この候補者は「第一志望だったA商事に内定もらった!」とツイートしているから、ウチの会社は辞退だろうな・・・ということとは異なります。

公開情報であるFaceBookやLinkedIn、またはenteloのような、ウェブ上に公開されている情報を統合することとは別にして考える必要があります。

企業側も同じで、今は反社など、取引におけるコンプライアンス違反が大問題になる時代です。たとえ自社はそういった個人情報を購入していなくても、他社がそのようなサービスを購入していた場合は自社にも疑いの目がかかります。不必要なリスクをわざわざ取りに行くのは悪手でしかありません。

そういった点で、今後は個人情報を他社に預けないスキーム、すなわち、企業も個人も直接応募の流れがますます強くなります。

そもそもニーズが無くなる

確かに、学生の内定辞退率というのは企業側にとっては、非常に欲しいデータでもあります。しかし、このニーズは、結局のところ新卒採用&終身雇用という日本の特殊な習慣に依拠しています。

日本式の総合職正社員雇用モデル(終身雇用)は原則的に解雇できません。そのため、内定を多めに出してしまった場合、企業は余剰人員を40年以上抱え込むという青天井なリスクがあるからです。

企業が「内定を多く出す」という回避策をとれない以上、内定辞退率のデータは非常に有意義なデータです。禁酒法があっても闇でアルコールが販売されていたように、多少法律に違反していようがお金が儲かるのならば、何らかの形で販売はされます。

しかし、そもそも論として「新卒採用&終身雇用」という採用モデルは限界に来ています。なぜなら、現代は変化の激しい時代であり、今後も世の中の変化はより激しくなるからです。

企業という組織も時代に併せて柔軟に変化する必要がある以上、その船に乗っているクルーも柔軟に変化せざるを得ません。そのため、変化対応力の弱い「新卒一括採用&終身雇用」組織は競争に勝てないでしょう。

「新卒一括採用&終身雇用」という文化そのものの減少に併せて、他社の応募状況という個人情報の価値は無くなっていくのではと思います。

そもそも、「御社が第一志望です」と全て会社に言うことは茶番でしかありません。茶番に血眼になっている経営者は株主総会で吊し上げをくらいます。

直接応募への流れが加速

旧来のウェブサイト採用では特定のプラットフォームの中での競争が重要な要素でした。

しかし、リクナビ事件によって間違いなく特定のプラットフォーム内での競争を経ない応募、すなわち直接応募の流れになるため、企業は直接応募時代での採用競争で生き残れるように変化・進化していく必要があります。

では、直接応募時代に生き残るためには、企業はどのように変化・進化していけばよいのでしょうか。

方法は色々とありますが、やはり一番重要なのは「よい会社になる」ことです。

「よい会社」というと実も蓋もないのですが、採用・人材戦略面でもう少し狭めるならば採用に関しての無駄な出費をせず、その採用予算を有効・有意義に使っている企業でしょう。

では、無駄な予算と有意義な予算の違いは何なのでしょうか。実は、直接応募の流れが加速するという外部環境変化によって、その違いはより際立つようになります。

採用シーンでの無駄な出費とは

直接応募時代においての無駄な出費と有意義な出費の違いは、企業や従業員の成長ではなく「採用それ自体」に対してお金をかけているかどうかです。

例えば「採用プラットフォームの中で1位になること」が「採用それ自体への出費」と言えます。採用プラットフォームの中でどれほど目立とうと、それは既存従業員にも顧客にもメリットはありません。

「採用それ自体」への出費は企業や従業員の成長に対しての相関性が低く、直接応募の加速に貢献をしていません。

その他の例ですと、よくある「採用それ自体への予算」は病院への看護師の人材紹介料です。

看護師人材紹介でよくあるパターンは、退職が止まらないA病院に、同じく退職が止まらないB病院から看護師を引き抜きA病院に入れるモデルです。人材紹介手数料は年収の35%程度ですので、大体150万円ぐらいでしょうか。

A病院からB病院へ看護師を1名移籍させることで、人材紹介会社は150万円の売上を作ることができます。もちろん、原価はほぼゼロなのでほぼ利益になります。

しかし、直接応募の観点でいうならば、ハンティングによる人員補充ではなく、A病院で退職が止まらない理由に対して手を打つことです。

もし、A病院で退職が止まらない理由が、採用コストによって人員増ができないことによる、看護師さんのオーバーワークならば、その予算でパートなどの人員補充、IOTによる業務のスリム化など労働環境の改革で対応することができます。

労働環境の改善によって「よい職場」になることができたのならば、直接応募の流れは間違いなく加速します。実際、看護師の友達は看護師なので、職場に対してのESが高いのならば、新しい人材はどんどん集まるという好循環が生まれます。

しかし、「採用それ自体」に費用を投下しても好循環は生まれません。WINなのは人材紹介会社だけで、院長も看護師も患者にもメリットはありません。

上記は典型例としての病院・看護師ですが、同じロジックはエンジニアにも言えます。

エンジニアの友達がエンジニアである以上、全ての起点はよい組織になることであり、限られた予算は「採用それ自体」ではなく、「よい組織になるため」に効果的に投下する必要があります。

そして、何を「よい」とするかについて、具体的な施策は組織によって異なりますが、実は方向性は決まっています。

「よい会社」「よい組織」は決まっている

それでは「よい会社」とは一体なんなのでしょうか?

実は「よい会社」は明確に定まっています。なぜなら会社が従業員に与えることができるものは「成長・給与・楽しさ」のいずれかに帰結するからです。

さらに、経営側の立場から考えると「給与」や「楽しさ」は会社の成長には直結しません。しかし「従業員の成長」は直結します。

従業員が成長することで、企業全体が成長します。経営者としては従業員が成長することにメリットがありますし、従業員にとっても成長できる職場というのは「よい職場」であると言えます。もちろん、これは、「成長があれば給与はいらないよね」といったブラック社長の放言とは次元が異なります。

求人広告を利用しての採用活動というのは目立つスペースの購入が重要なポイントでした。そして多くの人材会社は候補者の個人情報を囲い込むことによって、応募経路を占有していました。

しかし、リクナビ事件を経て応募経路が人材会社に占有されていることのデメリットが候補者にも企業にもより顕在化されるようになりました。

リクナビ事件以前は、人材会社が設けた「関所」が採用フローの重要なポイントでしたが、今後は「関所」ではなく企業と個人がダイレクトに繋がるというルートが加速します。そのため、採用戦略にとっては「仕事を通じて成長できる会社であるかどうか」がより重要になります。

エンジニアの成長は2パターン

仕事を通じた成長の重要性が高まることは必然ですが、実際のところエンジニアの成長は2パターンあります。

それはエントリーレベルエンジニアとハイレベルエンジニアの成長です。

エントリーレベルのエンジニアはスクール形式などでの育成が可能ですが、ハイレベルエンジニアは上司やメンバーとの切磋琢磨でのみレベルアップします。

インドのエンジニア人材というと安いエンジニアというイメージをお持ちの方も多いのですが、それは間違いです。もちろん、インドに限った話ではありませんが、世界中の全てのエンジニアには、エントリーレベルの安いエンジニアもいれば、シリコンバレーやテックシティロンドンで活躍するようなハイレベルなエンジニアも存在します。

そして、日本で働くということを考えた場合、地理的なコストのある外国人エンジニアは日本人エンジニアと比べてどうしても高額になります。

そのため、エントリーレベルのエンジニアならば日本人をトレーニングする、もしくは仕様書を完璧に作成し世界最安値の会社にオフショアすることがベストでしょう。

インドからわざわざエンジニアを呼ぶならば、シリコンバレーかテックシティロンドンか迷っているレベルのハイレベルなエンジニアでなければ企業的には意味がありません。

ハイレベルエンジニアを採用する

ここで重要なのは、ハイレベルのエンジニアスキルはレッスン形式ではなく、もともとのポテンシャルがある人材が、メンバーとの時間・空間の共有によって到達するものだということです。

例えば、MBAはスクーリングで学べますが、MBAがあることと、優秀な経営者であることは別問題です。MBA持ちのコンサルが、いぶし銀の経営者に机上の空論認定されることはしょっちゅうあります。

スクーリングが通用しない育成の場合、育成の効率は落ちます。そして、現在の日本は人材の絶対数が不足しています。

エントリーレベルのエンジニアならば、実際に、シングルマザーの就業支援として、シングルマザーをそこそこのエンジニアに育成するという取り組みがなされていたりと、非エンジニアの育成というメソッドが人口減少の日本においても有効です。しかし、ハイレベルエンジニアはそのやり方では不可能でしょう。

だからこそ、インドをはじめとする世界中から募る必要があります。これは単なる人口比率の問題であり、インドに拘る必要はありません。ただし、民族語だけのエンジニアの場合、現実的にその人が日本語を覚える必要があるため、ハードルが高くなります。同じように人材大国である中国やインドネシアではなくてインドなのはこのあたりが理由になります。英語ならば義務教育で勉強しているので他言語と比べれば相当にハードルが低くなります。

また、日本語や日本サバイバルスキルは先ほどの例でいうと、エントリーレベルのスキルであり、効率的なスキルアップが可能です。

このように言うと「日本語ができない人はちょっと・・・」という意見があります。確かに営業職などでは日本語は非常に重要です。しかし、エンジニアをはじめとする技術職においては日本語はさして重要ではありません。実際に日本の左官職人さんがピラミッドや欧州の教会などを修理をしたりしていたりします。

本質的に重要なのは英語力ではなく、コミュニケーション力と技術力です。枝葉スキルである日本語はそれらに比べれば簡単に習得できます。

日本はエンジニアにとって良い会社の少ない国

前述の通り、エンジニアにとってよい会社というのは、仕事を通じて成長できる会社です。しかし、長らく日本はエンジニアにとってよい会社になるインセンティブが働かない国でした。日本の会社の多くはエンジニアにとって成長できる会社ではなかったのです。

これは企業のスタンスではなく、日本のマーケットの問題です。

長らく日本市場は優れたプロダクトを作るよりも、営業力(≒宣伝力)を重視した方が企業にとって利益になる市場でした。つまり、日本のマーケットは営業力で何とかなる市場だったことです。これでは、優れたプロダクトを創ろうというインセンティブは働きません。

これは、新卒市場がコミュニケーションスキル偏重であることからも明らかです。

イマイチなプロダクトであっても、営業力や宣伝力で売れる市場ならば、コミュ力重視で人材を採用するという戦略は経営上も理にかなっています。

結局のところ、日本市場では、イケてないプロダクトであっても、圧倒的な営業力があれば売ることができます。さらに横並び体質の国民性がこの傾向に拍車をかけます。この市場特性において重要な営業トークは「他の人はもうやっていますよ」です。

日本のそこそこ広大で、横並びが好きな市場は、よい商品を創り出すことではなく、そこそこの商品を営業力で売るという方向に企業を進化させました。

しかし、日本市場の縮小を受け、イケてない商品をコミュ力でなんとかするビジネスモデルは限界に来ています。

実際、日本市場への最適化は最低限の技術リテラシーすら持ち合わせていない人が巨大企業の舵取りをするレベルにまで進んでいます。2段階認証を知らないリテラシーレベルの人が金融系プロジェクトの重要ポストを占めるということは顕著な例でしょう。

優れたプロダクトよりも営業力・宣伝力を重視したほうがプラスになるという日本の市場特性は、技術者の成長に対して蓋をし続けてきました。

しかし、日本市場は今後間違いなく縮小します。営業力でなんとかするというビジネスモデルが有効な市場がなくなることによって、日本企業は旧来の成長戦略を見直す必要性に迫られています。

その1つの解決方法が営業力ではなくプロダクトのクオリティへの回帰です。そのためには、優れたプロダクトを創るハイレベルエンジニアの採用が必須です。しかし、人口減少と技術者軽視だった日本においては、優秀なエンジニアの絶対数がそもそも不足しているため、既存のメンバーに加えて、海外からの招聘が必要になります。

海外からの招聘というと難しそうですが、実は、これは大きなチャンスです。

日本のポテンシャル

現時点で世界からエンジニアを集めている国というとアメリカとイギリス、それに中国でしょうか。この中で、中国は自国だけで完結できるマーケットがあるので、それほど人材には困っていないとは思います

営業力でなんとかなっていた日本市場が無くなる以上、必然的にアメリカやイギリスや中国の企業が競合になります。こういった国際間の競争というのは非常に困難に見えますが、これは大きなチャンスであり、日本にはそのポテンシャルがあります。

例えば、世界から人材を集めているアメリカの企業には、何故世界から優秀な人材が集まるのでしょうか。

これは、例えば、美味しい社員食堂の話があります。しかし、おそらく皆さんの行きつけのお店は負けていません。安心で快適な生活も同様でしょう。日本の生活は負けていません。

遊園地のようなラボにしても、秋葉原、新宿、渋谷などなど、作り物ではない、エキサイティングな街が日本にはリアルに存在します。

優秀なメンバーとの切磋琢磨によるスキルの向上という職場環境も同様です。そこらへんの中小企業が世界レベルの技術を持っているのが日本です。これらのポテンシャルはアメリカやイギリスの企業に対して十分に競合となることができます。

給与の話にしても、総合職正社員の場合は企業は社員のフリーライダー化というリスクを持ちます。しかし、技術職(や営業職)の場合は成果の見える化が容易です。年俸で1000万円の働きをしてくれるならば、年俸1000万円の給与を設定することは簡単です。実際、保険・不動産などの成果の見える化が容易な業界では1000万円以上の人は珍しくありません。

もし、競合になれないとしたら、その原因は営業力で何とかなる市場に甘えて、優れたプロダクトの開発を諦めてしまっていることが原因でしょう。人間は仕事を通じて成長していく以上、成長が無く、無為な時間を過ごす職場は選ばれる必然性がありません。

全ての起点は「成長できる会社」になることです。日本の持つポテンシャルを活かし、変化する日本市場に対応していくことは、今後ますます重要になっていきます。

Last updated: 11月 1, 2019 at 22:46 pm

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